| 園芸豆知識・植物の名前雑学編 | |||
| 名前で見る洋の東西 同じ植物でもこんなに見方が違うのか | |||
花の名前は多くの場合は形態の特徴を捉えて付けられています。花が篝火(かがりび)のように見えればカガリビバナ(シクラメン)、葉が鋸(のこぎり)の刃のように切れ込んでいるのでノコギリソウと云った感じで命名されている場合がかなりあります。しかし、たとえば鳥のように見える白い花の植物を見て、これを白鷺に見るか、千鳥に見るかは人によって異なります。特に、文化や習慣の異なる洋の東西では、かなり見方の違う場合があります。 ここで、特徴的な違いがある例のいくつかを紹介しよう。 @キンギョソウ(金魚草) 日本では金魚のような花だと見ても、英名ではsnapdragonといい、竜が噛みつくように見えるらしく、「竜の口」と見ています。 ![]() Aホトトギス(杜鵑草) 日本では花弁にある紫紅色の斑点がホトトギスの胸にある斑点に見たてたましたが、英名ではtoad-lilyといい、これをヒキガエルのイボイボに見ています。 ![]() Bコチョウラン(胡蝶蘭) 日本では花の形を蝶に見ましたが、英名はmoth orchidといい、これを蛾(ガ)に見ています。日本は蝶を美しい昆虫、蛾を汚い昆虫と見る傾向があるように思えます。でも、羽が開いた状態でとまっていると見れば蛾のほうが正しいのかもしれません。 Cセイヨウフウチョウソウ(西洋風蝶草)日本では雄しべが長く伸びた花の形を蝶が風に舞う姿のように見ましたが、英名はspider flowerといい、なんとこの花の形を蜘蛛(くも)に見るようです。 ![]() Dインコアナナス 日本では黄、赤2色の鮮やかな色合いをした花苞をインコに見たてましたが、英名はlobster clawsといい、形の方に注目して「ロブスターのはさみ」に見ています。 Eツルカメソウ(鶴亀草)・キッコウリュウ(亀甲竜)日本では亀甲状の塊根を亀の甲羅 のように見ましたが、英名はelephant's footといい、これを象の足に見ています。 このような例は、トックリランも同様で、日本では徳利(とっくり)、英名では象の足と見ています。日本では象への馴染みが薄かったということと関連しているのかもしれません。ちなみに、幹が丸く膨らんだものを、日本では徳利(とっくり)、西洋ではボトル(瓶)と表現する傾向にあるようです。 ![]() Fブラックキャット タッカは黒栗色の奇妙な花形をしていますが、これが日本ではブラックキャット(黒猫)という名前で流通しています。誰が命名したか流通名としてはうまく表現したものですが、英名はbat flowerあるいは devil flowerといい、蝙蝠(こうもり)や悪魔の花に見ています。あまりいい見方をしていないように思えます。 ![]() Gツノナス 黄色い卵形の果実の付け根に突起があるナスなので、ツノナスと端的に命名された和名のように思えますが、英名はnipplefruitで、「乳頭の果物」となまめかしい名前を付けています。一概には言えませんが、このような表現は日本では少ないように思えます。とはいいながら、日本でもイヌノフグリ(犬の睾丸)のように凄い名が付いた植物もあります。なお、このツノナスは、フォックスフェース(狐の顔)の流通名で出回っています。うまく表現したものだと思います。 ![]() Hトケイソウ 花の形が時計の文字盤と針に見えるのでトケイソウと云いますが、英名では副花冠が茨の冠に似ているからか、あるいは十字架に見えるからか、passion flowerといい、「キリスト受難の花」と表現しています。キリスト教圏では当然にキリスト教に関連した名前が多いのです。もちろん、日本でも、仏桑華(ブッソウゲ・ハイビスカス)や仏肚竹(ブッタンチク)、行者ニンニクなど仏教圏らしい名の植物もかなりあります。 以上は、見方の異なる例を示しましたが、もちろん、西洋も日本も同じ見方で命名しているものもたくさんあります。しかし、あえて異なる例を挙げたのは、文化・習慣の違いで、物の見方がずいぶん違う場合があることを紹介したかったまでです。 | |||