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園芸豆知識・雑学編





気根と板根のこと





熱帯には面白い根の形をした植物が多い。もともと、根は地中にあるものですが、熱帯ではしばしば空気中に根を伸ばします。

 たとえば、ベンジャミンゴムインドゴムノキなどのフィカス(イチジク)属の植物は、大木になって気根(きこん)を大量に伸ばしています(写真左)。長さ数メートル、時には10mにもなる気根をあたかも根の雨のように伸ばしています。

 気根(きこん)とは、空中に伸びる根をのことを云います。植物の種類によって、もともと気根が出やすい植物はたくさんあり、フィカス属タコノキ科、ヒルギ科の植物などが有名です。

 気根は、空気中の養分や水分を吸収するためのもの、支柱の役割のためのものなど、目的は様々です。写真左のフィカスの場合は、空中水分などの吸収の目的、写真右のタコノキなどは支柱の役割が主目的のように思えます。

 地中から十分な水分が得られない環境にすれば、普段は気根を出さない植物でも気根を出すことがあります。たとえば、身近な植物ではシャコバサボテン、デンドロビウムなどがあります。

 イチョウ(銀杏)にも風変わりな気根が出る場合があります。イチョウの気根は地面までとどくほどではありませんが、乳房状の突起が出ます(写真右下)。日本では銀杏は古い神社やお寺などに多いのですが、この乳房状の突起に縁起をかついで、母乳がよく出るように、あるいは安産など効能があるとのことで信仰の対象になっているものが各地にあります。ちなみに、イチョウは雄木と雌木があり、ギンナンの採れる雌木は大事にされますが、役立たずの雄木は早く処分されようで、大木はほとんどありません。ですから、気根を見るのは普通は雌木なのですが、形がいくら乳房状だと云っても雄木にも当然この気根は出ます。写真右最下段は、珍しい雄木の大木で見た乳房状の気根です。

 気根の紹介をしたついでに、板根(ばんこん:盤根)のことを少し書きましょう。熱帯では、気根とは逆に、幹の下部の根が地上に出て、見事な板状になった姿をよく見かけます(写真左2、3段目)。特に3段目の写真の板根は片側だけでも20m近くある凄いものです。まことに壮観です。この現象は熱帯雨林の地域で多いのです。この地域は、概して表土が浅く、木の根は地中奥深くまで伸ばすことができない場合が多いのです。一方で生長は旺盛で、大木になりますが、地中の根だけでは植物体を支えきれないので、板のように縦方向を厚くすることで、自らを支える力をつけているのです。日本でも、傾斜地などで表土が流失しやすいところなどで、見ることができます(写真左最下段)。

(写真左1〜3段目はインドネシア、右上はラオス、右2、3段目、左最下段愛知県津島市)