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園芸豆知識・面白い形態編





「絞め殺しの木」ガジュマルの凄い生命力
図 鑑









A椰子の木を締め殺しつつあるガジュマル(カンボジア)

@ガジュマルが締め殺し中の根の状態(中国雲南省)

C大量に垂れ下げるガジュマルの気根(沖縄)

D気根が太くなり、ジュを支える幹のような役割をするようになる。独特の姿になる(沖縄)。

E表土が洗われて根が露出した姿。

Gカンボジア・アンコール遺跡のタ・プローム寺院で見られるガジュマルの近縁種の締め殺しの様子。下方に写っている人物と比べると巨大さが分かる。
  ★ガジュマルは園芸植物として有名な植物ですが、一方で、たくさんの気根を出して、他の樹木に絡みながら育つ生命力の強い熱帯の樹木として有名です。そして、「絞め殺しの木」という強烈なニックネームで呼ばれています。

 ★ガジュマルという名前は沖縄地方の方言で『絡まる(がまる)』という言葉が訛ってできたものと言われています。自然界では、鳥の糞で運ばれた種子が、樹上で発芽し、その植物に寄生しながら、気根をはるか下の大地に向けて伸ばします。そして、地面に根が達すると、地中からも栄養がとれるので、生育は旺盛となり、さらに多くの気根を木に絡ませながら、生育を続け、やがては寄主の樹冠の上を覆うように葉が茂ります。その結果、絡まれた木は光合成が出来なくなり、ついには枯れてしまいます。それが「絞め殺しの木」と云われる所以ですが、絞め殺した後は独立して旺盛な生育を続けます。締め殺し中の根の網目模様は見事なものです(写真@A)。
 

 ★これだけ強烈なガジュマルでも、たまたま発芽した木が細い弱い木であったり、まだ十分に支持根が発達しないうちに絞め殺したりすると、自らを支えきれなくて倒伏してしまう場合もあります(写真B)。

B絞め殺して後、倒伏したガジュマル。中が空洞になっている(西表島)。

Fガジュマルの見事な樹形(沖縄)


 ★ガジュマルの気根の姿は様々です。種子が地上で発芽した場合などは必ずしも絞め殺しをするわけではありません。しかし、いずれにしても大量の細い気根を樹上から伸ばします(写真C)。そして、この根が土まで到達すると次第に太くなり、樹を支える働きをし始め、気根が幹を形成するような姿に」なります(写真D)。

 ★熱帯では概して表土が浅く、樹を支える根が地中深くまで伸びにくい場合が多いので、植物はいろいろな工夫をしています。気根が太くなり、樹を支える役割をするようになるのもその一つの工夫です(「気根の話」参照)。板状の根を地表で発達させて支える植物もあります(「板根の話」参照)。ガジュマルの場合でも、地表の土が洗われたりすると、太い根が地表をのたうちまわるように発達している姿を見ることもあります(写真E)。

 ★以上のような「絞め殺し」のことを説明すると、なんと恐ろしい植物だと思われるかもしれませんが、この植物、たいへん美しい樹冠を形成し、幹や気根の肌が美しく、熱帯では庭園樹、防風樹、防潮樹などの用途で広く植栽されています(写真F)。また、観葉植物として広く利用され、盆栽植物としても代表的です。(「ガジュマルの根上がり株と盆栽のこと」参照)。

 ★ちなみにカンボジアのアンコール遺跡群では、石造建造物に巨大な根が絡みつく光景が有名です(写真G)。この故にタ・ブローム寺院は観光スポットになっています。観光案内書などにはガジュマルの根が絡みついているとの説明が多いのですが、これは必ずしもガジュマルでは無いと思います(「締め殺しはガジュマルだけではない」参照)。